成忠の特技


成忠の煙管入れ

スポーツ分野

子供の頃から腕白で負けず嫌いだった成忠は、父親ゆずりの屈強な体格にも恵まれて、種々のスポーツを得意とした。
海軍兵学校時代、小遣いの半分を馬の稽古代にあてて励んだ結果、靖国神社祭典の競馬で優勝したというし、ある射撃大会では川田剛博士の書かれた絖の大幅を賞品として得たという(『凡人の半生』幸田成友より)。その大幅は残念ながら残っていないが、郡司家には成忠が使用したと思われる給弾ベルトは今も残っている。撃剣も得意で海軍時代、自宅に預かって面倒をみていた同僚の子弟や兄弟たちの撃剣の相手をしてやっていたという。
また釣魚には随分凝ったらしい。弟の露伴も釣り好きで有名だが、畑違いの二人が晩年までよくお互いに行き来し親しかったのは、共通の趣味によるところも大きかったのだろう。

芸術分野

海軍兵学寮時代、落語が得意で学友の間で人気者になっていたという逸話のほか、占守島での開拓時代に会員たちに講談を披露したなどの話が残っている。いかにも江戸っ子らしい特技というべきか。
写真からは無骨な軍人という印象を受けるが、絵心もあり音楽の素養もあったようだ。絵画では少年の頃、兄の成常とともに狩野派の絵を習っていたといい、音楽では自分で提琴や横笛を作り、楽しんだときく。
絵のほうは残念ながらひとつも作品は残っていないが、成忠手作りの横笛は今も郡司家の応接間に飾られている。先日ためしに吹いてみたところ、清涼な音色が響きわたった。百数十年前、極寒の千島の空にこだました響きかと思うとことのほか感慨深かった。

ついでながら、成忠の長男の智麿は尺八を嗜んだ。スウェーデン代理公使時代、国王の御前で尺八を演奏した時の写真が郡司家にいまも残っている。

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